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ブレーマーハーフェン

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 http://plaza.rakuten.co.jp/coloredpencils/diary/201311270000/

 システムの詳細は上記を読んで貰うのが一番早いかと。システムの細かいところを挙げるのは文量のバランスが難しいのだわ。
 要素は割と多めだけど、メインの流れは割と単純。契約カード、船カードをセットで競り落として船から得た資材を契約カードに運んでお金を貰う。これだけ。お金*名声点が最終的な勝利点なので率先してお金を稼ぐのがまあ間違いない。
 その周辺にやれ建物だの整地だのスタプレだの影響力カードの強化だの、細かいアクションが纏わりついてるけどそれらも全て出荷をより円滑に行うための補助アクションのようなもの。「テラミスティカは建設7割」と言える程度には「ブレーマーハーフェンは出荷7割」と言える。幹さえ抑えれば枝葉の理解は容易だ。
 ただ、自動的に進行するフェイズが多くて手作業が頻繁に発生するので、じっくりルール読み込んでる人がいないと変なところで躓く印象はある。相互チェック大事ね。

 さて、このゲームの見所は幾つかあるんだけど、まずはみんなが着目するポイント、アクション選択方式。このゲームでは1~5までの影響力カードを伏せての競りが採用されている。自分が遊んだ中だとチョコラトルが近いかな。まあ、多方面バッティングゲームというか、得点カードを沢山並べて手番順に手札を伏せていくハゲタカのえじきだと思って貰えればいい。
 影響力カードが同値の場合はスタプレに近いほうが勝つので先手有利だ。しかしながら後手は先手がスルーしたアクションをノーリスクで拾えたり、後出しで先手を潰しに行く&潰されにくいので後手なりのメリットがある。ここはいいジレンマw
 影響力カード構成にばらつきのある前半では先手有利だけど、影響力カードが整う後半では強襲をかけられる後手有利という気がした。この辺と絡めてスタプレアクションは自分のコマの順位を下げることもできたり、他人と他人のコマを入れ替えたりできたりするのが小技だけど面白い。
 さてまあ、ハゲタカのえじきを想像して貰えればいいんだけど、バッティングは安いカードで大量に得点できた人が圧倒的に浮いちゃうゲームなのだ。なので緻密&長時間な戦略ゲームではこの手のシステムは避けられる向きがある。運ゲーになりやすいからねw
 当然その特性はこのゲームでも同じことが言える。では、今作はどうやってその問題を解決したのか? ……簡単な話だ。誰かがトップに出るなら回りが叩く手段を豊富に用意すればいいw そしてバッティングは意図して他家を叩きやすいシステムなのだw
 ということで、一見洗練された優等生にも見えるこのゲーム、実は古典的ドイツゲームにも似た交渉&殴り合いの味付けがなされている。この辺、「ルールには記述されていないんだけど、蓋を開けてみたらそういう遊び方になった」というゲームは予想外で面白いw
 例えば、商品の値段を決めるアクションを奪い合う際、「お互い手札を投げ合うのもバカバカしいし、ここはお互い手札1枚だけに留めて、勝った方の商品を4金、負けた方を3金にしないか?」とか交渉する。手札を2枚3枚も使った挙句に入札に負けて、商品の値段を1金に下げられたりしたら泣く。それよりは交渉でWIN-WINを計った方がスマートってもんだ。タイマンで殴り合うと傍観する他家が得するだけだしねw

 そう、基本的に構図はタイマンだ。そして殴り合うと両者が疲弊する。なので、トップを叩くにしてもタイマンで挑むのは分が悪い。結局得をするのは無傷の他家だ。
 ならばどうするか? 話は簡単。他家も引きずり込むw 「オレは建設アクション全ツッコミするから、そっちは船カード全ツッコミ頼むわ」みたいな。1vs2、1vs3の構図に持ち込んでトップを引きずり下ろすのだw こう書くと凄い殺伐としたゲームだなこれw
 実際、自分たちの4人プレイはトップを走るプレイヤーがヘイトを買いすぎて最終的にフルボッコにされて陥落したようなもので。ヘイト管理って大事ですね。

 しかしまあ、トップが多分にヘイト買ったのもそれなりに理由がある。それは建設許可アクションの仕様に関係している。
 建設許可アクションは、入札することで「埠頭の整備」「港湾の整地」「建物の建設」のどれかが行えるアクションだ。このアクションは他の入札と違って2位以下でもトップとの差額を払うことでアクション可能、しかもトップの額を再度払うことで繰り返しアクション可能という「緩めのアクション」だ。複数回使用前提でデザインされている、と言ってもいい。実際、毎ラウンド1回だけだと不足気味な感もある。
 さて、ここまで書くと「全員で談合して低額入札で抑えて複数回アクションするのがスマートなんでない?」というアイディアが閃く。みんな1金で入札すればアクションし放題じゃないかと。
 閃くんだけど、みんな余分にお金を払うのは嫌なので割と全力で入札に行くw そもそも手持ちのお金が少ないので、「お金を支払えない=アクション実行できない」という恐怖がまとわりつくのだ。
 他人を蹴落とすために意図してそれを狙う手もあるw 結果どうなるかというと1枚だけでなく2枚目の手札を投入するヤツが現れるw 入札の際、手札の数字は合算されるので、1枚なら最大5のところが2枚で最大9まで膨れる。自分が出したのが1なら出費は8金だ。これは堪らないとばかりに他のプレイヤーも2枚目を投じる。あるいは建設を諦める。
 「合成の誤謬」とは、まさにこういうことを言うのだろうか。建設許可アクションに山と積まれるカードw 「1位が赤の17で2位が緑の16で…… あ、青の人は差額10金払ってね。払う?」 誰が払うか!w
 とはいえ、困ったことに港の拡張なしには今後が立ち行かないので建設許可を全く無視するわけには行かない。かくして「ワシとチミの間柄だ。仲良くやろうじゃないかね? ん?」との呼びかけも、誰かの2枚目を投入する非情な選択に掻き消されていく。残るのは怨嗟の声、ただそれだけだw

 さらに困ったことにはこの「建設許可ロック」とも言うべき戦略が案外理に叶っていたりもする。というのは、このゲームの商品の値段は1~4金で、1枚の契約カードで出荷できる商品の数は1~3個。一連のシークエンスで得られる収入はだいたい6~8金くらいになる。
 船カードと契約カードを落とすのに最低2手番は必要なので、1手番の価値は(金に限定するなら)3~4金程度。さらに商品価格を操作するにも手番がいる。
 それなら建設許可に1枚余分に使って他者に出費を強いるのも相対的にはさほど変わらない。むしろ効率的ですらある。エグい。エグすぎるぜ……!

 ……ということで終盤までトップ目だったプレイヤーは、船カードも契約カードもガン無視で建設許可を絞りに絞り上げたのである。我々無辜のプレイヤーが怒りに打ち震え、決起に走ったのも已む無しとご理解頂けるであろうw
 勝ち筋が多い方がゲームとして豊かだというのは、まあ、わかる。出荷戦略がメインストリームとして用意されたゲームで、まったく出荷を無視してもどうにかなるというのは懐が広いとも言える。
 ただまあ、誰もが一つのアクションに殺到してお互いのアクションの機会を奪い合うのは、まあ、不毛だw もうちょっと平和なゲームの方がぼくには馴染みますね。まあ、結局は勝ったんですけどもw


 しかしながら、殴り合いと絞り合いがこのゲームの全てだと思われるのはマズいので、ちょっと付け加えておくw
 このゲーム、毎ラウンド1枚ずつイベントカードがめくられるんだけど、その出方で相当ゲームの色合いも変わってくるように思う。今回は早いラウンドで「船から得られる資材が1つ腐る」というヒドいイベントカードがめくられたので、出荷戦略に向かい風が吹いた感は否めない。逆に「船から得られる資材1つを好きな資材と交換できる」みたいな出荷を後押ししてくれるイベントもあるので、一様にどの戦略が強いとは言い切れない。イベントカードの出方一つで有利な戦略は都度変わっていくのだろうし、それに合わせて柔軟に打ち手を変えていく器用さが海の男には求められるのだろうw
 しかしながら、相当ランダムなこのイベントカード、強烈な効果が多いので結構キツいと言えばキツいw イベントカードの公開から発動までは若干のタイムラグがあるので心の準備はできるものの、もうちょっとマイルドな効果でもよかったんじゃ、と思うところはあるw

 好きなところも語ろう。このゲームはクエストの受注と達成を繰り返してお金を稼ぐタイプのゲームで、ヴァルドラとかメルカトルとかその手の系列のゲームだ。この手のゲームは自分の目的達成ばかりに目が行って回りとの絡みが薄くなり、また効率性を求めるために慌ただしくなる向きがある。
 しかしながら、このゲーム、商品を精算するためのトラックや鉄道は定刻になるまで出発しないのが面白い。てきぱきと資材を積み込んでも結局は出発のラウンドまで待つことになるので、慌ただしさよりどこかのんびりとした空気が漂う。トラックを先に待機させておいて、出発ギリギリに資材を運び込むパズルチックな動きもうまくハマると達成感がある。いかに商品を滞らせずに入荷して管理して出荷するか、ロジスティクスな楽しさをうまく落とし込んだゲームだと思う。
 同ラウンドで出発する相手のトラックを見やりながら商品の価格を動かしていくのも面白い。同じ商品を同じタイミングで出荷するなら相手の値付けに自分も乗っかれるわけで、トラックを競り落とす時点から相乗りを狙っていくと効率的にお金を稼げる。もちろん、共存ガン無視で自分だけ儲かるように出荷したっていいw けど、この手のゲームは人に色々やって貰う方がラクだw

 一方、資材を港に持ち込んでくる船は、寄港直後は歓喜を持って出迎えられるんだけど、資材を陸揚げしたが最後「いつまで停泊してるんじゃアアン? はよ帰れや」と言わんばかりの冷たい視線を浴びせられるw なにせ船が埠頭を占領している限り、新しい船をいつまでも入港させられないのだ。船の入札の際には停泊時間も考慮しないといけない。
 ところが、ゲーム終盤ともなると船の停泊が名声点に関わってくるので船が入れ替わり立ち代わり埠頭に出入りするとなかなか名声点が上がらない。船を埠頭限界まで係留するのが一番名声点を稼げるので「いやいや、もう1ラウンドだけゆっくりしていきませんか?」と揉み手することになるのだ。まあ、船には船の都合があるので定刻になるとさっさと出港してしまうんだけどw

 このように、船の特性のありがたみが序盤と終盤で全く逆転するグラデーション加減に自分は美しさを感じる。先述したスタートプレイヤーでも同様のことは言えて、序盤は先手有利、終盤は後手有利な構成が、毎ラウンド繰り返しな内容にも関わらず展開に起伏を持たせる助けにもなっている。
 まあ、あとはこれで殴り合いがなければ洗練されたモダンなゲームですね、で纏められるんだけど、インタラクションが結構強烈なので感想としては「荒々しい海の男ゲーだなあ」ということになるw 
 しかしながら手堅く纏めた優等生作品よりは、これくらい意外性に溢れている方が華があって面白い。……と、思えるのは実際ゲームに勝ったから、というのもあるだろうなあw 建設許可ロックとかないギスギスしない環境でまた遊びたいですねw


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 ゲーム終了時の自分の盤面。52金*16名声点で832点。このラウンドのイベントが「全員名声点1下げる」という意味の無さ……
[ 2014年02月25日 22:29 ] レビュー・感想 | TB(0) | CM(0)
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